さくら色 〜好きです、先輩〜
「ははは!そっか。不安にさせてごめんな」
目を細め優しく笑った先輩は、「避けたりしてねぇから、そんな不安そうな顔すんな」と私の頭をポンッと撫でた。
「…っ…」
先輩…不意打ちはホントに反則だよ…
準備してなかった心臓は、キュンッと締め付けられて苦しい…
だけどそれは苦痛ではなくて。
幸せの痛み。
「先輩。今まで練習に付き合ってくれてありがとうございました。この三週間ホントに楽しかったです」
「俺も楽しかったよ。久しぶりにたくさん笑った…ありがとな」
今日の先輩はいつもと違う。
高校での先輩はどこか寂しさが混じった表情をしていたけど。
今日は中学の頃と同じ…
暖かくて、優しくて、眩しくて、魅力的な。
人を惹きつける笑顔をしている。
「先輩!私と賭けをしませんか?」
「賭け?」
「サッカー部の入部を賭けて…うちのクラスが優勝したらサッカー部に入部して下さい」
「…負けたら?」
「…もし負けたら先輩の言う通りにします」