さくら色 〜好きです、先輩〜
私は慎ちゃんが引っ越してからもずっと慎ちゃんの事が忘れられなかった。
私の中の慎ちゃんは何年経っても当時のままで。
どんな大人になったのかよく妄想に浸っていたっけ…
入学式の日、廊下でぶつかった時はすぐに彼だってわかった。
昔よりすっきりとした顎のライン。
身長はぐんっと伸び、髪型も肌の色も変わって想像以上に大人の男性になってたけど。
微笑んだ表情は全く変わっていなかったから…
低くなった声で久しぶりに「那奈」って呼ばれた時も、
私の頭を撫でる手もあどけない笑顔も…
慎ちゃんの全てに胸が張り裂けそうなぐらいドキドキした。
こんな感覚は久しぶりでどうしたらいいのかわからなかった。
意識し過ぎて慎ちゃんと会話どころか目すら合わせる事が出来なくなった。
そして気付いたら慎ちゃんが今まで以上に遠い存在になっていた。