さくら色 〜好きです、先輩〜
私は足の力が抜けてその場に座り込んだ。
「那奈?」
「嘘みたい…夢見てるのかな…」
葵に保健室から今までのことを泣きそうになりながら話した。
葵は頷きながらずっと聞いてくれた。
そして、その目に光るものが見えた。
「葵…泣かないで」
「ごめんね。でもホント嬉しくて…良かった。本当に良かった」
私のために綺麗な涙を流してくれる葵。
その姿に胸が熱くなる。
この子はどこまで優しい子なんだろう。
「ありがとう。葵にはたくさん勇気もらった。葵のおかげだよ」
「それは違うよ。那奈が頑張ったの。私は何もしてない」
人は一人じゃ何も出来ない。
だからこそ友達や恋人が必要で。
支え合って生きていく。
私も葵や里美ちゃん、そして慎ちゃんを支えられるようにもっと強くなりたい。
自分ばっかり支えられるんじゃなくて。
大切な人が寄りかかってきても倒れないぐらい強く、優しい女性になりたい。
「次は葵だね。決勝絶対勝とうね!!」
誰も来ない校舎の裏には蝶が舞い、太陽の日差しが心地よかった。
*那奈side*終*