さくら色 〜好きです、先輩〜

桜井先輩は変わった。

転校してきた時は人生の終わりのように全く表情がなかったのに。

今は中学の頃のように人を惹きつける笑顔を見せる。


葵が先輩を変えたんだ…


球技大会の数日前の夜、葵が桜井先輩に家まで送ってもらってるところを自分の部屋の窓から見た。

二人は仲良さそうに手を振って別れた。

最近部活が終わった途端すぐいなくなると思ったら先輩と会ってたのか?

いや、たまたまばったり会っただけなのかもしれない。

それでも二人が急接近していることは一目瞭然だった。


「くそっ!!」


俺は手に持っていた雑誌をぐしゃぐしゃになるぐらい強く握り締めていた。


俺が二人の間に入る隙間なんてもうないのかもしれない。

そんな現実から目を逸らすようにカーテンを閉めた。




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