さくら色 〜好きです、先輩〜
「これより男女混合サッカーの決勝戦を始めます!礼!」
「「「お願いします!!」」」
試合開始の笛が鳴り響いた。
両チームの選手がピッチに散らばり、クラスTシャツのカラフルな色が入り混じる。
「桜井先輩!」
俺は試合が始まってすぐ先輩に声を掛けた。
「…恭介」
「俺、学校の行事だけどもう一度先輩とサッカー出来て嬉しいです。準決勝のプレーも流石でした。先輩は今でも俺の憧れに変わりありません」
「何だよ、急に…でもサンキューな」
桜井先輩は右手で髪の毛をくしゃくしゃにして照れた様子だった。
「だけどこれだけは言わせてください。この試合、絶対に負けません。葵は絶対に渡しません」
俺は先輩の言葉を待たずに、一度会釈をしてその場から離れた。