さくら色 〜好きです、先輩〜
私は立ち上がって、ゆらゆらと舞う花びらを追った。
「…やった!取れた」
手のひらに落ちた花びらをそっと摘まんで空にかざす。
こんな小さい一枚の花びらなのに、淡いピンクと濃いピンクのグラデーションで綺麗に染まっている。
「…綺麗…」
どうして桜はこんなに綺麗なんだろう。
一気に花をつけ、一気に散って行く桜。
その儚さが美しく、魅力的で目を奪われる。
私が桜に見惚れていた、その時。
ーーーーガサッ。
突然さっきまで誰もいなかった方から足音が聞こえ、肩をビクッと揺らした。
振り返ると、男子生徒が一人隣の桜を見上げている。
その横顔が何とも寂しそうで目を逸らせない。
自分の鼓動が早くなっているのがわかる。
あの人、似てる…
先輩に…