さくら色 〜好きです、先輩〜
「何があったの?」
「…さっき恭介と…話してきた」
葵は膝に置いた拳を見つめながらポツリポツリと話し始めた。
私はただ頷きながら聞いていた。
時折拳を強く握り締める葵を見て胸が締め付けられた。
葵も恭介も誰も悪くないのに…
葵は気持ちに応えられなくて深く傷付けてしまった自分を責めてる。
「恭介のこと本当に大好きなのに」
「うん」
「傷付けたくなんかないのに」
「うん」
話してる間、葵の涙が止まる事はなかった。
「今日はありがとう。話したら落ち着いたよ」
「そっか。良かった。今日は泊まって行けば?」
「ううん。明日朝早くから部活あるから帰る」
私達は部屋を出て階段を降りた。