さくら色 〜好きです、先輩〜
その後、私はジャージに着替えて部活の準備を始めた。
冷やしタオルを作ろうと、両手に抱えるようにして持っていた一枚のタオルがひらりと風に舞って地面に落ちる。
大量のタオルを落とさないようにゆっくり屈んで手を伸ばすと、日に焼けた大きな手が落ちたタオルを拾い上げた。
「あ、すみません。ありがとうござ……っ!!」
顔を上げると、そこには真顔の恭介が立っていた。
「恭介…」
「ほら。半分貸せ」
恭介はそう言って、私が持っていたタオルを半分以上持ってくれた。
水道に着くと、恭介は用意してあったバケツの中にタオルを入れてくれた。
私も自分の分を同じように入れて蛇口を捻る。
勢いよく出た水がタオルを徐々に濡らし、跳ね返った水しぶきがバケツの内側に当たってバシバシ音を鳴らす。