さくら色 〜好きです、先輩〜
「けど?」
那奈は不思議そうに瞬きを繰り返して顔を傾ける。
「ここにいるわけないの。それに、あの人は先輩だけど先輩じゃなかった」
「どういうこと?」
「先輩の瞳はね、いつも引き込まれそうなぐらいキラキラしてたの。大好きなサッカーをやってる時も友達とじゃれあってる時も」
私は、その先輩の瞳が好きだったんだ。
力強くて真っ直ぐなあの瞳が…
だけど、今の人の瞳はどこか寂しそうで、全く光がなかった。
まるで世界が終わったかのように。
先輩…
この二年で一体何があったんですか?