さくら色 〜好きです、先輩〜
部活初日。
俺は西原さんを驚かせたくて入部したことを秘密にしていた。
彼女は案の定目を見開いてポカーンとした様子だった。
そんな一見間抜けそうな顔でも可愛いと思ってしまう俺はかなり重症だと思う。
曲がったネクタイを直してもらった時は本当にヤバかった。
手を伸ばせば抱き締められる距離に、誰よりも欲しい彼女がいる。
俺より身長が10センチぐらい低く、想像以上に肩幅が狭くて華奢だった。
時折西原さんからする甘い香りが脳を刺激する。
思わず抱き締めしめてしまいそうになって、西原さんの背中に伸びかけた腕を少し残った理性で止めた。