さくら色 〜好きです、先輩〜
楽しい時間はあっという間に過ぎ、若菜先輩との約束の時間になった。
私は那奈と別れたその足で校庭に向かう。
校庭では既に沢山の部活が練習を始めていて活気が溢れていた。
「葵ちゃん!」
振り返ると、若菜先輩が部室棟の一室から出てきた所だった。
いつか恭介が着てるのを見たことがある、胸の辺りに学校の名前がプリントされたサッカー部の青いジャージ姿。
「来てもらっちゃってごめんね」
「大丈夫です。久しぶりに先輩に会いたかったですし…それにしても凄い人数ですね」
私はグラウンドをぐるっと見渡した。
こう見渡しただけでもざっと60人以上はいる。
サッカー部は三つのグループに分かれて練習していて、中でも中央の一番広いスペースで練習しているグループは他よりも気迫や動きが違う。
「…あっ!恭介…」
その中に、泥だらけになりながらボールを追いかけている恭介を見つけた。
自分より身体の大きい人に倒されながらも立ち上がって、また勝負を挑んで…
そういえば最近、毎日のように顔や足に傷が出来ていたっけ。