さくら色 〜好きです、先輩〜

「ああ。あのグループはね、うちのレギュラーメンバーよ」


私の視線に気付いた若菜先輩は、「圧倒されるでしょ?」と誇らしげに微笑んだ。


「レギュラーって…恭介はもうその中に入ってるんですか?」

「うちの期待の新人だもの。先生もキャプテンも他の皆も期待してる」


恭介は天才肌なんて言われてるけど、私は恭介が影でたくさん努力しているのを知ってる。

誰よりも努力家で、誰よりも負けず嫌いで。

顔を合わすとすぐ言い合いになっちゃうけど、私はそんな恭介のことを本当は凄く尊敬してるんだ。


だからそう褒めてもらえたり、恭介を認めてもらえたりすると、自分のことじゃないのに嬉しくてくすぐったい気持ちになる。



「それでね、恭介君から聞いてると思うけど、今日はマネージャーのことで来てもらったの」

「はい」

「マネージャーを募集してもほとんどの子が部員目当てで長続きしないのよ。ほら、マネージャーって雑用でしょ?」


若菜先輩は周りを見渡しながら苦笑いを浮かべた。

視線の先にはグラウンドの周りを囲うようにたくさんの女子が集まり、黄色い声援を上げている。


マネージャーは部員と仲良くなれる絶好のポジションだし、やりたい女の子なんて沢山いるんだろうな…



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