さくら色 〜好きです、先輩〜

私は二人が先輩から見えるように先輩の隣りに移動した。

すると二人は先輩をジッと見つめたまま、一歩前に歩み出た。


「えっと同じ中学の子だよね?」

「葵と恭介の幼馴染の森本里美です。桜井先輩に言っておきたいことがあります」

「何?」

「葵を泣かせたら私達が許しませんから。それだけです、失礼しました!!」


そう言って二人は教室の中に走って消えて行った。

先輩は二人の後ろ姿を呆然と見たまま動かない。


「す、すみません。あの二人、私を心配してあんなこと」

「ぷっ!はははは!葵の友達も元気いいな。二人に伝えといて。絶対泣かせない、約束するって」

「先輩…」


嬉しかった。

先輩の気持ちも里美と那奈の気持ちも、私の胸にジーンと染みた。




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