さくら色 〜好きです、先輩〜
その瞬間、近くにいた恭介や小野田先輩、若菜先輩も私と同様凍りついた。
その学校名が…二回戦の対戦校、先輩の前の学校だったから。
「…夏樹」
ドクン、ドクンと頭の中に心臓の音が木霊する。
この人が…夏樹さん?
先輩に辛い想いをさせた張本人なの…?
「奏人、学校来なくなったと思ったら転校してたんだな。急にいなくなったから心配したんだぜ?」
夏樹さんはそう言って、いやらしく笑った。
先輩の拳には力が入って小刻みに震えている。
「で?奏人は明日の試合出んの?」
「いや、俺は出ない」
「何だよ、お前と試合出来るって皆楽しみにしてたのに。弱小チームでレギュラーにすら入ってないのかよ」
夏樹さんはそう言って嘲笑った。