さくら色 〜好きです、先輩〜
「マジだって!俺は何も知ら……「「恭介ーー!!顧問が呼んでる!」」
あと一息のところで、サッカー部の男子がタイミング良いのか悪いのか声を掛けてきた。
「お、おう!今行く」
恭介は天の声が聞こえたかのようにホッとした表情を浮かべ、するりと私たちの間をすり抜ける。
「わりぃ!先生呼んでるから行くわ」
「ちょっと!まだ話終わってない!」
私が呼び止めるも、恭介の姿はあっという間に見えなくなった。
こういう時の逃げ足は本当に早いんだから!
「怪しい…なんか焦ってたよね」
「うん。目も泳いでたし」
「あれは絶対何か隠してるよ。恭介、素直でわかりやすいからすぐに目に出る」
私達は小2の頃からずっと一緒にいる。
恭介のクセなんて全て知り尽くしてるも同然。
それなのにずっと隠し通せるとでも思ってるのかな…
「聞かれちゃまずいってことは、やっぱり何かあったってことだよね?」
里美がさらっと言ったことは的を射ていて、私を一瞬で不安にさせるのに十分だった。