さくら色 〜好きです、先輩〜
「こんな試合、許されるんですか…?今日まで汗水垂らして練習頑張ってきたのに…」
若菜先輩は頷きながら、震える背中を落ち着かせるように優しく摩ってくれた。
「あれ?こんなとこで泣いてどうしたの?俺が慰めてあげようか?」
陽気な声が聞こえ振り向くと、今一番会いたくない人がポケットに手を入れて立っていた。
「…君達、奏人の学校の?」
「……」
「二人とも可愛いね!ジャージ着てるってことはマネージャー?あんな弱小チームやめてうちのマネージャーにならない?」
さっきの試合のことなんて全く気にした素振りもない。
恭介の足をあんな風に狙って怪我させて、他の皆にだって傷を負わせてるのに…
私は歯を食い縛り、こみ上げて来る憎しみを堪える。
「葵ちゃん。戻ろ!」
私は若菜先輩に肩を支えられるようにして歩き始めた。