さくら色 〜好きです、先輩〜
次の日、私は集合時間より早く学校に着いた。
最近は朝も先輩と待ち合わせて登校していたけど、やっぱりいつもの場所に先輩は来てなかった。
私は辺りを見渡して先輩を探してる自分に気付いた。
この癖はすぐにはなくなってくれなさそうだな…
先輩がまだいない事に内心ほっとした自分が凄く嫌だった。
昨夜、何度も笑顔で挨拶する練習をしたけど鏡に映る自分は全然笑えてなかった。
今までどんな風に笑ってたのかもわからない。
心にポッカリ穴が開いたようだった。
「はあ…」
「また溜息ついてる。何かあった?」
いつの間にか、恭介が私のすぐ後ろにある膝丈ぐらいの高さの花壇の塀に腰を掛けていた。
隣りには一週間分の重い荷物と松葉杖が立て掛けられている。
「あ…」
今日は荷物が重くて松葉杖の恭介には大変だから、私が迎えに行こうって思ってたのに…
自分の事にいっぱいいっぱいで迎えに行くのも忘れて一人で先に来て…
駄目だな…私。