さくら色 〜好きです、先輩〜

クジ引きの結果、私は恭介とペアになった。


「恭介…私、こういうのホント駄目なんだけど…」

「そういえば葵は昔から怖がりだったよな。怖かったら俺の腕掴んでいいから」


私は松葉杖をつく恭介のジャージの裾をギュッと掴んで何とかスタートした。

私達の出発の順番は不運にも最後。

後ろに誰もいないと思うと背後が凄く不気味で寒気がしてくる。



ーーーーガサガサ。


「きゃあ!!」


私は先輩達が脅かしたり風で葉っぱの掠れる音がする度に恭介の後ろに隠れた。


「恭介…足痛くない?」

「ん?大丈夫。それよりちゃんと掴まってろよ?」

「うん。ありがとう」


今日の恭介は一段と頼もしく見えた。

何時の間にこんな立派になったんだろう。

昔は泣き虫の意地っ張りだったくせに…

恭介が楽しい話をしてくれるお陰でそんなことまで考える余裕が出てきた。




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