さくら色 〜好きです、先輩〜

「どっちから来たんだっけ」


戻ろうと思ってもどっちに行けばいいのかわからない。

携帯の待ち受け画面には“圏外”と表示されている。

見渡す限り道はなく、到底人が来るような場所ではない。


私、遭難しちゃったんだ…


幸いここは月の光で明るいけど、一歩森に入ったら闇…

夜風が木々を揺らし枝や葉っぱが擦れる音が、更に不気味な雰囲気を醸し出している。


怖い…

誰か、助けて…

誰か…



「…先輩っ!助けて!!」



「…ぉい!!葵!!」





< 349 / 499 >

この作品をシェア

pagetop