さくら色 〜好きです、先輩〜
ーーーバンッ!コロコロ……バンッ!コロコロ…
「ボールの音?」
家の近くにある運動公園の横道を歩いていると、ボールが壁に当たる音が聞こえてきた。
この公園にはテニスやサッカーの壁打ちが出来る運動広場があって、昔から恭介が自主練習している場所でもあった。
もしかして恭介かな?
今度は絶対に逃がさないからね!
私は恭介から話を聞き出す為、人気のなくなった公園に足を踏み入れた。
まだ冬の名残がある夜風が頬を摩る。
公園内は外灯が無いとほとんど何も見えない。
サッカー広場にある二つの外灯がボールを蹴る人物の姿を照らしている。
恭介…じゃない。
私はゴクンッと息を呑んだ。
胸の鼓動がどんどん加速していく。
「さっ、桜井先輩!!」
ボールを足で止めて振り返った先輩は、一瞬驚いた表情を見せるとすぐに眉を顰めた。
額には薄っすら汗が滲んでいるように見える。