さくら色 〜好きです、先輩〜
俺は立ち止まり息を整えた。
焦ったら葵の姿を見落としてしまうかもしれない。
落ち着け…
葵はきっと大丈夫。
俺は深呼吸をして目を凝らした。
するとさっきまで気が付かなかったけど、数百メートル先に白く光った場所を見つけた。
「葵…?」
俺は何となくそこに葵がいるような気がして走り出した。
何となく…
直感だけど、自信がある。
葵は俺の真っ暗な世界を、明るく照らしてくれた。
あの光のように…
あと少しの所まで来ると、スポットライトが当たってるかのように月の光に照らされてる葵の姿を見つけた。
「…先輩っ!助けて!!」
葵が涙混じりに俺を呼ぶ声が聞こえた。
「葵!…葵!!」
葵は俺の姿を認めると、くしゃくしゃな顔で俺の胸に飛び込んで来た。