さくら色 〜好きです、先輩〜
「ひっく…先輩…」
「ハァハァ…もう、大丈夫だからな」
俺は葵の存在を確かめるように強く抱き締めた。
腕の中で震えてる華奢な身体は、柔らかくて温かくて俺の不安を一掃していく。
無事で本当に良かった…
どのぐらいそうしていただろうか。
葵が泣き止んで落ち着くまでずっと抱き合っていた。
俺の胸で泣く葵が愛しかった。
公園に戻ったらまた距離をおいた俺達に戻る…
このまま時間が止まればいいのにって本気で思った。
公園に着くと、萩原が泣きながら葵に抱きついてきた。
小野田と恭介もホッとした顔を浮かべている。
俺は一人その場を離れて再び星空を見上げた。
さっき見た時より不思議と輝いて見える。
その後、恭介に葵からの伝言を聞いて公園の外れに向かった。
「葵?」
俺に気付いた葵は安心するような笑顔を向けてくれた。