さくら色 〜好きです、先輩〜
夏休みの最終日、私は里美と那奈を誘った。
二人は真剣に私の話を聞いてくれた。
「葵は本当にそれでいいの?後悔しない?」
「後悔しない!!嫌われてもいいんだ」
多分、先輩は私に失望してる。
あんな酷いこと言って先輩を裏切って…
でもそれでいいの。
私を酷い奴だと嫌ってくれればいい。
「どうしてそこまで…」
「先輩が国立で優勝して、プロになって日の丸背負ってる姿が見たいの。先輩って本当に凄いんだよ?この前のインターハイなんて出場してないのに他の学校の有名な選手に声掛けられちゃってさ。今だって先輩の復帰を聞いたスカウトの人が学校に練習見にきたりするし」
私はコップの中の氷をストローで突きながら話した。
こうやって平然を装っていないとすぐに泣いてしまいそうだった。
「先輩は優しいから…私なんかの為に先輩の夢を滅茶苦茶になんて出来ないよ」
「本当に先輩が好きなんだね」
里美はそう言って私の頭をポンポンと撫でた。