さくら色 〜好きです、先輩〜
「葵は偉いと思うよ?好きな人の為に自分の気持ちを押し殺して身を引くなんて簡単に出来ることじゃない」
里美の瞳が揺れていることに気付いた。
「泣かないって決めたって言ってたね。でもさ、こういう時は泣いてもいいと思うよ?泣くことが悪いわけじゃない、その涙をこの先どう変えていくかじゃないかな」
「…う、ん…」
「私達の前では無理しなくていいんだよ?」
「ありがど…うっ…ほんと…ありがと…ね」
別れてから一週間、我慢して我慢して堪えてた涙が頬を伝った。
たった一週間なのに限界だった…
「…葵ぃ〜、よく一人で頑張ったね…ゔっ…」
「もう、那奈ちゃんまで泣いて」
「だっで…だっで…ひっく」
私はその日、大好きな二人の親友に囲まれて思いっきり泣いた。