さくら色 〜好きです、先輩〜
「…何?」
先輩は怠そうに返事をしながら小野田先輩に歩み寄る。
小野田先輩はそんなの気にもしないで、先輩と肩を組むように腕を回した。
「明日の文化祭、ちょっと付き合ってくれない?」
「付き合うって?」
「西原さんのクラスで浴衣着て写真撮れんだって。若菜と夏祭り一緒に行けてないし良い機会だから写真撮りに行きたいんだけど二人じゃ付き合ってんのバレんだろ?だから奏人も付き合ってくれたらなって思って」
肩に回した腕を離した小野田先輩は、「お願い!」と言いながら顔の前で手を合わせた。
「葵ちゃんも浴衣着るんだってよ?…見たくない?絶対可愛いよ!?」
「ちょ!若菜先輩!!」
そんなこと、言わなくてもいいのに…
先輩がそんな風に思うわけないんだから…
「別に付き合ってもいいけど」
そう言った先輩と不意に目と目が合い、ドキッと鼓動が跳ね上がる。
先輩がうちのクラスに来てくれる…
少しの時間でも文化祭を一緒に過ごせるんだ…!
「「よし!決まり」」
小野田先輩と若菜先輩は息をピッタリと合わせてガッツポーズをして喜んだ。