さくら色 〜好きです、先輩〜
卒業式の片付けが終わった頃には、校庭で騒いでいた卒業生は下校したようだった。
静まり返る校内。
寂しさが沸々と込み上げてくる。
先輩はスポーツ推薦で県外の全寮制高校に行くと手紙に書いてあった。
…もう会えないんだ。
堪えていた涙が零れそうになって天井を見上げる。
泣かない…
自分で決めたんだ。
告白はしない。
今のままでいいって…
何気無く下駄箱から靴を取り出すと、中に少し膨らみのある小さく折り畳まれた手紙が入っているのに気付いた。
「…っ……」
急いでその手紙を開こうとしたけど、手が震えてなかなかうまく開けない。