さくら色 〜好きです、先輩〜
佐々木君がクラスの皆に事実を話すと瞬く間に二人の噂は広まった。
那奈と恭介は面白いほど驚いてて、那奈は暫くきゃあきゃあ叫んでいたし、恭介は「まじで?あの里美が?」と言って里美に叩かれてた。
「次は葵の番だね」
「私の?」
「先輩のこと。大会が終わったら今の気持ち伝えるんでしょ?」
里美は首を傾げて聞いて来る。
私は廊下の窓から校庭を眺めた。
そこに文化祭の片付けをしながらはしゃいでる先輩と柏木先輩の姿を見つけた。
「多分…言わない」
「どうして?」
「だって大会が終わっても先輩の夢は終わらないもん。次はプロになって日本代表になって…これからが大変なの。私はただのサポーターだから」
「葵は我慢し過ぎなんじゃないかな…もっと我儘になってもいいんだよ?自分の気持ちを大事にしなくちゃ」
「これでいいの。私、十分我儘してる。自分の気持ち最優先にしてるよ」
先輩の夢が私の夢。
これは夢を叶える為の私の我儘なの。
里美はその後何も言わず、私の背中を優しく撫でてくれた。