さくら色 〜好きです、先輩〜
「ヘックシュン!」
「大丈夫ですか?コート着ないでそんな薄着でいるからですよ!あ、ちょっと待って下さい」
私は鞄に入っていたプレゼントの袋から濃紺のマフラーを取り出した。
爪先立ちをしながら、背の高い先輩の首にマフラーを巻く。
ふわっと先輩からシャンプーの香りがした。
「これ…」
「クリスマスプレゼントです。ずっと渡せなくて…鞄に入れておいて良かった。やっぱりこの色、先輩にピッタリですね」
「葵…ありがとう。すげぇあったかい」
やっぱりプレゼント買って、直接渡せて…
この笑顔が見れて良かった。
私は首元に光るネックレスにそっと触れる。
「あの、大会が全部終わったらお話があるんですけどお時間頂けませんか?」
全部終わったら…
クリスマスの時に伝えられなかった想いを伝えよう。
先輩は少し間を置いて「わかった」と頷いた。