さくら色 〜好きです、先輩〜
冬の国立
全国高等学校サッカー選手権大会が幕を明けた。
準々決勝までは国立ではなくいくつかの会場に分かれて試合が行われる。
国立の舞台に立てるのは準決勝に進出した四校のみ。
第一回戦が行われる会場には夏樹さんの姿があった。
夏樹さんは私達に気付き不敵な笑みを浮かべて近付いてくる。
「よお。奏人、予選では大活躍だったらしいな」
「……」
「少し有名になったからってな、調子乗ってんなよ?…お前には絶対に負けねぇ」
ガムを噛みながらドスの聞いた声で言う夏樹さんに、先輩は少しも怯んだ様子なく堂々と宣言する。
「夏樹、悪いけど俺もお前だけには絶対に負けない。優勝はうちがもらう。俺はお前を許さない」
「ふっ、はははっ!!!上等じゃねぇか。お望み通り俺がぶっ潰してやるよ。それまで負けんじゃねぇぞ?」
夏樹さんの笑い声が頭の奥まで響く。