さくら色 〜好きです、先輩〜
応援席に行くとすでに柔道部の応援団が旗を振り、大太鼓を鳴らし、応援合戦で熱気が溢れていた。
会場の雰囲気は昨日の準決勝の時と全く違う。
これが…国立…
急に緊張して手に汗が滲み出した。
私は最前列の席に座り心を落ち着かせた。
選手もいつもより緊張した様子で少し動きが硬い気がする。
無理もない。
国立という栄光の舞台でこんな大勢の前で試合だなんて私には想像出来ない。
練習時間はあっという間に終わり、一度選手はベンチに戻った。
十分程度の練習だったのにほとんどの選手が肩で息をしているようだった。
いつもはこんなことないのに…
皆の緊張がヒシヒシと伝わってくる。
そして最後の戦いが始まった。