さくら色 〜好きです、先輩〜
夏樹さんは桜井先輩を狙っている。
過去に怪我をした足ばかり…
先輩は上手く避けてまだ一度も倒れてはいないけど、スパイクで怪我をした足を蹴られたらと思うだけで怖かった。
チームの実力の差はあまりないように見えるけど、向こうの方が試合慣れをしているのか全く緊張した様子は見られない。
このままだとすぐにゴールを割られてしまう気がした。
そして前半35分…
「ゴール!!!」
先取点を決めたのは夏樹さんだった。
ディフェンダーはその場に力無く座り込んだ。
「おい!!しっかりしろよ!!」
先輩の声がグラウンドに響く。
「試合前のやる気はどこにいった!!?勝つんだろ?優勝すんだろ!?お前らの気持ちはこんなもんだったのかよ!?」
小野田先輩は熱が入った先輩の肩をぽんっと軽く叩き落ち着かせた。
先輩はやるせない思いを芝にぶつけた。