さくら色 〜好きです、先輩〜
「先輩」
先輩は一瞬肩を揺らした後、私をちらっと見た。
生気のない瞳が私を捉えると微かに眉を寄せ、再び校庭に視線を戻す。
「先輩は混ざらないんですか?」
窓から校庭を見ると、楽しそうにサッカーをしているグループの中に恭介の姿を見つけた。
学年問わず遊んでるようで、他にも同じ中学のサッカー部の先輩の姿も見受けられる。
「恭介は昔から先輩に憧れていたから絶対喜びますよ」
中学の頃のサッカー部は本当に仲が良くて、特にキャプテンをしていた先輩は同級生からも後輩からも慕われ憧れていた。
そんな仲間達なら先輩も昔のように楽しくサッカー出来るんじゃないかって直感で思った。
だけど…
「……めたんだ」
「え…?」
窓の外から先輩に視線を移すと、先輩は俯きサッシを強く握っていた。
その表情は私からはよく見えない。