さくら色 〜好きです、先輩〜

この最後の一本を決めれば優勝という会場にいる誰もが計り知れない程のプレッシャーと、先輩は今一人で闘ってるんだ。

こんな大舞台でも先輩の背中は堂々としていて、純粋にかっこいいって思った。


私は空を見上げた。


神様、どうか…


どうか、先輩の夢を叶えて下さい…


皆の最高の笑顔を、この国立で咲かせて下さい…


上空には円形の七色の虹が薄っすらと見えた。

それは初めて見た現象で、息を呑む程綺麗だった。

まるで神様が私の心の声に応えてくれたかのようで穏やかな気持ちになった。


視線を空から戻した瞬間、先輩の目と目がぶつかった。

先輩は口をゆっくりと大きく動かし始める。


「ま、て、ろ、す、ぐ、い、く…」


待ってろ、すぐ行く…?


「先輩…」


胸が張り裂けそうなぐらいドキドキして周りの歓声が聞こえないぐらい頭に響いている。

先輩と私だけが別の世界にいるような、時間が止まってるような、そんな不思議な感じがした。


先輩は小さく頷いた後、ゴールを見据えた。



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