さくら色 〜好きです、先輩〜
私は先輩達の姿を見たくなくて一番遠い席に座った。
だけど、二人の笑い声だけが耳に届く。
委員会は役員と仕事の分担を決めて30分も経たないうちに終わった。
「はあ…」
いち早く図書室を出て昇降口に向かう途中、私の口からは溜息しか出てこない。
「そんな溜息ばっかついてたら幸せ逃げるよ」
里美はそう言って苦笑いを浮かべる。
昇降口に着くと、恭介がサッカー部のジャージ姿でガラス扉に寄っかかっていた。
「恭介どうしたの?誰か待ってるの?」
「葵のこと待ってた」
「私?」
「ちょっと話あるんだけど、いいか?」
恭介のいつになく真剣な様子に戸惑いを感じつつ、私は頷いた。
「私は予備校あるから先に帰ってるね。また明日」
里美は恭介の肩に手を乗せ、耳元で何か言って帰って行った。