さくら色 〜好きです、先輩〜
「よくここで恭介が自主練してたんです。私はその姿ずっと見てきたんで、恭介がサッカーのことで褒められたりすると何故か自分の事のように嬉しくて」
この前先輩に会った運動公園の前を歩きながら、昔を思い出す。
ここからはサッカー広場は見えないけど、遊具や砂場では子供達が元気に走り回っていた。
「あの子達も練習かしらね」
若菜先輩の視線の先には、向かいから走って来るサッカーボールを持った小学生の男の子達。
「私もあんな感じだったわ」と微笑んだ、その時。
「今日も奏人兄ちゃんいるかな」
「昨日はいるって言ってたよ」
「俺、今日は奏人兄ちゃんにリフティング教えてもらうんだ!」
思いも寄らない男の子達の会話に、私と若菜先輩は顔を見合わせた。
「若菜先輩!あの子達…今、奏人兄ちゃんって…」
「うん…もしかしたら桜井君かもしれない。彼もよくここで練習してたから」
先輩があの子達にサッカー教えてる?
それも頻繁に…
辞めたって言ってたけど、やっぱり先輩はサッカーを続けてたんだ。
「あの、少しだけ行って来てもいいですか?すぐ戻りますから」