さくら色 〜好きです、先輩〜
絞り出したような低く掠れた声。
信じられないと言わんばかりに見開いた揺れる瞳。
胸がドキッと跳ね上がった。
そんな先輩から目が離せない。
周りの音が遠退き、自分の心臓の音だけが聞こえる。
「…してましたよ。無邪気に笑ってました」
その空気に飲み込まれそうになったのをグッと堪え、言葉を紡ぐ。
先輩はサッカーの練習をしている子供達を見つめながら戸惑った表情を浮かべていた。
「この前、サッカーはやめた、好きじゃないって私に言いましたよね?でも私には本当はサッカーがしたいって、サッカーが好きだって聞こえました」
「……っ…」
「私も先輩がもう一度夢を追いかけてる姿が見たいんです。だから先輩を待ってます。サッカー部で」
私は今伝えられる精一杯の想いをはっきりと言葉にした。