さくら色 〜好きです、先輩〜
「良かった。過去にもサッカー部のマネージャーになった子が絡まれたりしたことあるみたいだから…私、気を付けてたんだけど」
若菜先輩に不純な動機がないことはサッカー部ファンの女子も知っていること。
だから“一年の時からマネージャーやってるけど絡まれた事は一度もない”って言っていたっけ。
「ホント大丈夫ですよ。実は、桜井先輩が助けてくれたんです。先輩が来てくれなかったら殴られてました」
「桜井君が?…そう、良かった。ホントに…」
若菜先輩はほっと胸を撫で下ろし、力をなくしたようにフェンスに寄り掛かった。
若菜先輩…凄く心配してくれたんだ。
そんな優しい先輩に胸が温かくなる。
「それで、桜井君は何処に行ったの?」