さくら色 〜好きです、先輩〜

「校舎の方に行きました。あそこにいる小学生、実は先輩がサッカー教えてる子達なんですけど、あの子達が試合見たいって言ったから連れてきたって」

「そう…でも!今までサッカー部に近付こうともしなかった桜井君が、子供達の為とはいえ来てくれただけでも一歩前進だね!」


若菜先輩の言う通り、どんな理由であれ先輩が来てくれたことは本当に嬉しい。

同伴なんて言ってたけど多分、先輩も何処かで試合を見てると思う。


入学式の日、上級生は学校が休みで部活は午後からだった。

先輩は部活に入ってないし、入学式の係でもない。

なのに学校に来てたってことはきっとサッカー部を見に来たんじゃないかな。

その日のサッカー部は紅白試合があったみたいだし。

だから今日もきっと……


その後、気付いたら子供達の姿は見えなくなっていた。


練習試合が終わり、静けさを取り戻した校庭は真っ赤な夕日に照らされて寂しそうに見えた。



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