さくら色 〜好きです、先輩〜
「先生、里美は大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。とりあえずただの貧血みたいだし、倒れた時に何処か打ってないか検査した方がいいかもしれないけど何ともないと思うわ」
彼女は今にも泣きそうな顔をしていたが、心配ないと聞いてホッと胸を撫で下ろしたようだった。
「桜井君、ありがとう。もう部活戻っていいわよ」
「はい。失礼します」
そう言って、保健室を出て昇降口に向かう。
あの子、凄い友達想いの子なんだな。
保健室に入って来た時の慌て様といい、あの泣きそうな顔とホッとした顔といい。
自分でもよくわからないけど、ほんわかした気持ちになった。