時は今
静和の運転する車に乗り、忍は家まで送ってもらった。
車に乗っていた少女は静和の妹だった。桜沢涼。白王の中等科に通っていると話した。
忍が声楽をしていると話すと、静和も涼も忍に興味を持ったのか、いろいろ聴いてきた。
音楽のことでこんなに興味を持って話しかけてくる人たちは、忍の周りには音楽の先生くらいしかいなかったから、忍には新鮮だった。
メールアドレスを交換したいという話になって、忍は携帯を持っていないことを話した。携帯を持てるほど金銭的余裕のある家庭じゃないから。
それで家の電話番号を教えた。
忍は静和と涼にお礼を言った。
また会いたいね。
その時に静和と涼と繋がった気持ちが、忍の人生を変えた。