時は今



 四季は忍の様子を窺うような、いたずらっぽい目になった。

「由貴が心配?」

 忍は「うん」と素直に答える。

「由貴じゃなくても倒れてたら、友達なら普通は心配するでしょ?」

「そうだね」

 忍は四季のそばにある椅子にかけた。

「由貴、四季といる時、何となく可愛い」

「え?」

「思ったことない?」

「…ああ」

 四季は眠り込んでいる由貴を見て肯定した。

「可愛いって言ったら、可愛いゆーなって言われた。そこが可愛いんだけどね」

「由貴に可愛いなんて言うんだ?」

「え?だって可愛いよ、由貴は」

 そういう四季は穏やかな目をしている。「ちょっとうらやましい」と忍は言った。四季は目を上げる。

「僕から見たら、忍といる涼ちゃんとか吉野さんがうらやましく感じたりすることがあるよ」



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