時は今
「…どんな顔って?」
「寂しいなら寂しいって、傷ついたなら傷ついたって言えば?普通それが先に来るんじゃないの?人の気持ち考え過ぎて、自分の気持ちは二の次?四季、順番が逆よ。それじゃ四季がいちばん傷ついている時に、誰も四季を抱きしめられないってことよ」
「──そんな難しいこと言われてもわからない」
何処か虚ろにそう答える。…少し変だ。忍は四季の額に手を当てる。
「四季、熱ある」
「…うん」
「うん、じゃないでしょう」
「……」
「四季、帰ろう。送るから」
四季は不安そうに忍を見る。忍は「どうしたの」と訊いた。
「自分の気持ちって…。僕は自分の気持ちを言ったのに、誰もそれを僕の気持ちじゃないって言う時は、僕は何を言えばいいの」
「──四季」
「僕は僕のことで好きな人が傷つくことが嫌だと思った。真白もそうだし、忍もそうだ。でも、僕がそう言うと由貴も美歌も、僕にもっと自分を大事にした方がいいって言う。忍もそうなの」
忍は四季の顔をじっと見る。
(私はその感情は知らない)