時は今



「四季くんは?衣装。ピアノって言っても、四季くん目当てのお客さんって絶対いると思うし」

「…そうだね」

 四季の胸の中で、輝谷の同級生たちと──真白のことがよぎって行った。

 それから、コンクールを見ていてくれたという、桜沢静和のことも。

「ピアノだと、弾きにくい服には出来ないし──少し考えてみる」

「四季、文化祭当日のA組の予定、今で話して音楽科の予定と調整していた方がいいと思うわ」

 忍がそう切り出してくれる。

 誰が頼んだわけでもないが、メモを取ってくれている。

 ありがたい存在である。

 買い出し班と衣装制作時間、舞台の照明、音響担当、練習時間を決めて、その日は解散になった。

 みんなで話をしているうちに気分も上がってくる。

 文化祭だ。



     *



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