【短】セカンド・ラブ
それから、亜梨沙が風呂に入ってこようとしたのをなんとか防いで、夕食を食べてる時は異様にくっついてきたけどまあ、普通に食べれた。
「兄ちゃん多分、渡さないと夕飯食べなんでこれお願いします」
そう言ってお盆に乗せられたさっきお腹に入れた夕食を見つめた。
確かに、あたしは手伝うとは言った。
でもそれは皿洗いとかを想像してた訳で、我が儘を言うならこれ以外にしてほしい。
もちろん、文句は言えずゆっくり亜梨沙から背を向けた。
二階に上がり、悠些とローマ字でかかれたプレート見つけてすぐにノックをした。
すると部屋から「なに?」という声がしたので、あたしは部屋を開けた。
「…ああ、亜梨沙じゃないよな」
その意味深な言葉を不思議に思いながらも無言で机にお盆ごと乗せた。
そのまま部屋から出ようとしたら亜梨沙がさっき掴んできた位置でセーターを強めに引っ張られた。
「亜梨沙に、お礼言っといて」
…なんか、この兄妹って不器用だな。
ま、あたしも人のこと言えないけど。
「自分で言えば?」
宮根悠些の顔を見ずに逃げるようにあたしは部屋から出て行った。
下に降りる前にあたしはチラッと2人のプレートを見た。
その時、あの人が笑ってるとも知らずに。