【短】セカンド・ラブ
「俺、国語教師で副担持つことになったんだ」
コーヒーを飲みながら宮根悠些がいきなり話し出した。
「…だって、」
「え。あ、兄ちゃん昔から国語だけは出来たもんね」
戸惑いながらも、あたしが送ったパスになんとか亜梨沙は答えた。
「は?他の教科も出来たけど、国語は特に出来た…いって!」
よく分からないことを言ってる奴に下から脛を狙って、蹴った。
「ちょ、いてぇんだけど…」
そう言いながらも余裕そうな顔をしていた。…外したか。
「ゴチソウサマ、今度なんかお礼する」
「ほ、ホントですかぁ!きゃー!どうしようデートなんてそんな…!」
それを無視してあたしは宮根家から出た。
…あー、なんか寒いな。
「国語、」
あたし古典が全く出来ないんだよな。
小さく白くなった息を吐きながら、学校まで歩き出した。