【短】セカンド・ラブ
「…顔覚えんの苦手」
「はあ?舐めてんじゃねぇぞっ」
そのまま殴ってきそうな手を、短いハニーブラウンの髪を軽く巻いたさっきの女子が止めた。
「琉奈(ルナ)、駄目だよっ。しかもさいとーさんは多分なんか武道習ってるよ」
「…ちっ」
…ああ、そうだ。亜梨沙に似てるんだ。
容姿は全然違うけど、笑顔の裏には闇を持ってそうな雰囲気が。
「はちみつドーナッツ食べたくなってきた」
「は?」
意味が分からなそうに首を傾げた金髪のお団子の女子。
…だって、その髪見てたらおいしそうだし。
「はちみつ?あ、あたしも食べたーい」
「おま…っ、未夢(ミユ)の髪見ながら言ってんだろ!?」
にこにこ笑う未夢に、怒る琉奈。
二人は将来コンビが組めそうだなと思いながらはちみつドーナッツを思い浮かべた。
「みゆー、斉藤さんと仲良くすんのやめな」
さっき爆笑してた二人が未夢の名前を呼んで、そう言った。
「…ほら、あいつらも言ってんじゃん」
「うん…、でも」
「あたしもそう思う」
そう賛成したらあのケバケバしい二人が目を見開いてこちらを見てきた。