【短】セカンド・ラブ
そんな感じで、お腹いっぱいになるまでケーキを食べあたし達はしばらく無言の後、亜梨沙が口を開いた。
「…あたしと兄ちゃん、血が繋がってないんです。母の連れ子で」
「………」
「収入のだいたいは義父で、あの人は兄ちゃんをどうしても大学に行かせたかったんです。…でもあの人の異動が決まって収入もかなり減ってしまったらしいんです」
「…母親は?」
「あ、母は訪問販売?を転々としてるらしいです」
つまり、どちらも此処に帰ってくることはほとんどないってことか。
ふと亜梨沙を見ると、笑っているのに眉がさがっていた。
…ああ、あたし無神経だったかもしれない。
きっと亜梨沙の母親は二度と帰ってくることはことはないんだろう。
──亜梨沙を置いて出て行ってしまったのだから。
「…そうか」
「えっと、それであたしは連れ子で、兄ちゃんは母と父の子で…」
「え、亜梨沙っていくつ」
「へ?19です」
さらっと言いのけた亜梨沙を見た。
…年下かと思ってた。童顔だな。
「敬語いらねえよ」
「…きゃ、恥ずかしい…っ」
両手で顔を隠しながらも、何故か指の隙間からこちらの様子を伺っていた。