【短】セカンド・ラブ
「なんだ、てっきり危ない場面じゃないかと思ったよ」
あれから亜梨沙とあたしは、なにか勘違いしている宮根悠些にケーキを与えながら、誤解を解いた。
「兄ちゃんが言うとなんかやらしいわ」
「…歩く下半身」
「え?ちょっと待って、なんか最後の言葉可笑しくない?」
「どっちにも突っ込んで欲しかったわ!」
今更だけど、なんで亜梨沙だけ関西弁なのか、さっきの話を聞けば納得出来る。
「そうえば2人共さ、国語以外でも分からない所があったら聞いてくれよー」
「…あたし、綯捺さんに聞くからっ…むふふ」
いつもの気味の悪い亜梨沙だが、一瞬顔が強ばったのが分かった。
「特になし」
「おまっ、言い方…!」
いきなり立ち上がって大声を出し始めた。
…口から飛び出したケーキがテーブルに落ちている、汚い。
「汚い」
「ひどっ!!」
更に、ケーキを飛ばす宮根悠些。
もういいから口に入れながら喋るのやめて欲しい。
「兄ちゃん食うの遅いねん。あたしが食べてあげるっ」
「わっ、バカ!イチゴは俺の果物の中で一番好きなやつだぞっ、渡してたまるか!」
「逃げるんか!この勝負に!!」
「なん、だとっ…!負けるか!」
なんだかこんな状況なのに、なんだか不思議と口角が上がっていた。