【短】セカンド・ラブ
そんな和やかな雰囲気が奴によって一気に壊された。
「ねえ、君達の中に1組はいない?」
二人はすぐに振り返ったが、あたしは振り返らず髪を掻き回した。
…この声は、絶対宮根悠些だ。
あたしは背中から日汗が出るのを感じた。
「あたし1組だけど?」
「ちょうど良かった。担任の先生からこれを運ぶように頼まれたんだけど、お願い出来る?」
「あー…いいっすけど」
やば、どうしよ。この流れで逃げちゃうかな。
「あ、一人じゃ重そうだから君も手伝ってくれる?」
「はーい」
よし、このまま流れで一緒に行っちゃおう。
二人がこっちに向いたのを横目で確認して行こうとしたら、足が進まなかった。
「君にも手伝ってもらうよー」
「っ!」
くそ、こいつ気付いてただろ…!
あたしは思いっきり舌打ちしたら、後ろから笑い声が聞こえた。
「…何を手伝えばいい」
「え、無いけど」
「じゃあ帰らして」
「無理」
なんかこの会話いらいらする。
未だ、左腕は掴まれたまま。