【短】セカンド・ラブ
「…手離せ」
なんか触れられてるとこが、熱い。
「離したら、逃げるから断る」
なんかどっかで聞いたことのあるような台詞をさらっと吐いた。
…なんだのこのピンク色の雰囲気は。
恥ずかしくなって、あたしは奴の足を蹴った。
「いてっ!」
そして腕の力が緩くなった隙に、自分の手を制服のポケットに突っ込んだ。
まだ左腕は熱を持ったままだ。
「…いってえ、なにすんだよ。あ、でも逃げてない」
「逃げねえよ、話あるんじゃないの」
「まあな」
足をさすりながら、笑ってそう言った。
「亜梨沙のことだろ」
「んー、まあそれもあるけど」
それの他に何も思いつかない。
あたしは首を傾げて、宮根悠些の返答を待った。
「綯捺にも、聞きたいことがあるんだよな」
「…なに、数学教えてくれるの」
惚けてみせた。が、宮根悠些はいきなり「数学の話をするな!」と叫んだ。
「俺は、数学は0点とれる自信があるくらい嫌いなんだ」
教師らしかならぬ言葉を自慢気に話し出した。